もう一人のY君

iPhoneアプリのレビューやアップデートレビューなどを書いています. たまに数学の記事も書きます.

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Geekbench 4が測定しているもの

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 先日リリースされたGeekbench 4.

 前作の3とは少し測定内容が異なる(新しい項目がある)ため, 再び調べてみました.

 ところどころ前回と同じ表現があったりしますがご容赦ください.

 

[Contents]
 

 

Geekbench 4

Geekbench 4

  • Primate Labs Inc.
  • ユーティリティ
  • ¥??

※価格は記事執筆時のものです. 現在の価格はApp Storeから確認ください.

 

 

Results画面

thetheorier.hatenablog.com

 先日指摘した通り, 今作はCPUベンチマークのみのようですね.

 

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 この下に各項目が並んでいます.

 

System Information

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Operating System

 Operation System(OS)とはコンピュータプログラムの一つで, 他のアプリケーションを動作させるために必要な, 基本ソフトとも呼ばれる存在です.

 これがないとアプリが入っていても動かせません.

 

Model

 デバイスの一般名称です.

 

Model ID

 デバイスの"品名"に相当し, 同じモデルでも例えばiPadのLTEあり・無しのモデルは区別されます.

 

Motherboard

 デバイスの主要部品を配置する回路基板です.

 各々に, 或いは独自に規格があったりします.

 

Processor

 デバイス処理の基幹部です.

 CPUと同一視することが多いですが, 最近ではGPUの存在があるため一概に同一とは言えません.

 

Processor ID

 プロセッサは各々に対して様式(アーキテクチャ)があり, その名前に相当します.

 ARMというのは半導体メーカーARMによるアーキテクチャの規格ということです.

 

L1 Instruction Cache

 Cache(キャッシュ)というのは, ネットワークにおいて一つの領域ともう一つの領域の間で一部のデータを一時的に保存し, 再利用することで通信の遅延を極力抑えるための手段であり, その領域を指します.

 毎回毎回画像などを読み込んでいると, そのたびにその分だけ遅延するだけでなく, 通信も要します.

 ちょくちょく"邪魔者"のような印象を受けることがあるでしょうが, 基本的にはメリットがあるからこそ存在しているのです.

 さてここではそのうちメモリに関するキャッシュで, CPUとメモリとの間の性能アクセスの範囲拡大に応じて多数構造となっているそうです.

 どれを使うかは方式によって異なり, 各々に応じてCPUに近い順からL1, L2, L3とされています.

 

 (少なくとも)iPhone 6の場合は L1 キャッシュは更に2つに分かれており,

  • 命令キャッシュ(Instruction Cache):仕様頻度の高いプログラムを一時記憶する領域
  • データキャッシュ(Data Cache):仕様頻度の高いデータを一時記憶する領域

となっています.

 iPhone6ではL3 Cacheが0Bであることから, 使われていないか存在しない(機能が無い)と思われます.

 

L1 Data Cache

 同上.

 

L2 Cache

 同上.

 

L3 Cache

 同上.

 

Memory

 一般にRandom Access Memoryと呼ばれ, CPUで行うデータを記憶するための部分です.

 対してストレージなどをInternal Memoryと呼びます.

 メモリは電源が落ちるとデータは消去されます.

 よく, メモリは「作業台」, ストレージ(またはHDD)は「倉庫」に例えられます.

 「作業台」は作業を素早く行えますが, 「倉庫」に対して広くはありません.

 一方「倉庫」は作業を行うためにデータを取ってきたり戻したりするのに時間はかかりますが, 「作業台」に対してスペースはたっぷりあります.

 また基本的に「倉庫」で作業することはできません(例外はあります).

 

 よくメモリとストレージ, 加えて通信量を混同される方がいらっしゃいますね.

 

 

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Core Results

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 続いては System Information の下にある Single-Core, Multi-Coreです.

 前回は項目ごとにSingle-Core, Mult-Coreが並んでいましたが, Geekbench 4ではそれぞれのコアでの測定でまとまられています.

 どちらも項目は同じとなります(画像は一部).

 

 今回新しく追加された項目は赤くしておきます.

 

 

AES

 Advanced Encryption Standardの略で, セキュリティにおける暗号化規格です.

 暗号化規格なので安全性や実装のしやすさ, 消費電力などの要素はもちろんのことですが, ここでは「処理速度」を評価しています.

Advanced Encryption Standard - WikipediaAdvanced Encryption Standard - Wikipedia

 

LZMA

 データ圧縮アルゴリズムの一つです.

 単位がMPixels/secなので画像での処理能力といったところでしょうか?

LZMA - WikipediaLZMA - Wikipedia

 

JPEG

 JPEG画像の処理能力です.

 前回は圧縮・解凍別々に項目があったんですが今回は1つのようですね.

 

Canny

 確信はありませんが, 画像処理における特徴検出・特徴抽出の一種であるエッジ検出の一つであるキャニー法(Canny edge detecter)と思われます.

エッジ検出 - Wikipediaエッジ検出 - Wikipedia

 大ざっぱに言えば, ある画像で極端に目立つ箇所, 或いは境界線などのみを検出したり取りだす処理のことです.

 

Lua

 多分ですがブラジル産のスクリプト言語Luaのことと思われます.

 その処理速度によるスコアでしょうかね.

Lua - WikipediaLua - Wikipedia

 

Dijkstra

 数学におけるグラフ理論での概念であり, 重みのついたリンクで結ばれたノード(場所)が存在し, ある場所から別の場所への最短経路を求めるアルゴリズム, 或いは理論です.

 例えば複雑に入り組んだ都市の鉄道を想像してもらえば分かりやすいでしょう, ノードは駅, リンクはその駅間でかかる乗車料なり所要時間でも良いです.

 ある駅から別の駅へ降りるのに, どのような乗り方が一番安いか, 或いは最短時間で行けるか…というのがグラフ理論, ひいてはこのダイクストラ法の考え方の一例です.

 実際にはマップアプリなどの経路探索などで使われているでしょうね.

ダイクストラ法 - Wikipediaダイクストラ法 - Wikipedia

 

SQLite

 データベースの一種であり, 実際にはライブラリらしいですね.

 従ってデータベースとしても使えますがアプリケーションに利用されることもあるようです.

 

HTML5 Parse

 検索エンジンがそのWebサイトをクロールする際, そのWebサイトの情報を解析する作業をhtmlパース(parse)と言うんだそうです.

 ここではそのhtml5版ということのようですね.

 

HTML5 DOM

 DOMとは, htmやhtmlの各要素にアクセスする仕組みだそうです.

 場合によってはそれによって取得した要素をツリー構造で表現することができます.

 

Histogram Equalization

 画像を解析し, 明るさの分布をヒストグラムに表現する処理です.

 

PDF Rendering

 PDFの生成処理能力です.

 

LLVM

 LLVMとは任意のプログラムでの

  • コンパイル(プログラム言語を機械語に翻訳)
  • リンク(機械語の断片を結合して実行可能なプログラムにする)
  • 実行時

などで出来るだけ最適化できるように設計されたコンパイラ基盤です.

 

Camera

 images/secという単位からすると, 撮影したイメージの画像化処理の能力でしょうかね.

 連写などで重要視されそうです.

 

SGEMM

 例えば行列 { \displaystyle A, B, C }, スカラー { \displaystyle \alpha , \beta } に対して

{ \displaystyle \alpha AB + \beta C }

を計算すること, 或いはその計算能力のことをGEMMと言います.

 SGEMMは単精度(4バイト=32ビット), 今回は見当たりませんがDGEMMは倍精度(8バイト=64ビット)になります.

 

SFFT

 デジタル処理や画像処理など多くに使われているフーリエ変換に関するもので, それまで主流だった離散高速フーリエ変換アルゴリズム(FFT, Fast Fourier Transform)に, 無駄な処理をできるだけ減らすことを実現したSFFT(Sparse Fast Fourier Transform)というものだそうです.

 

N-Body Physics

 ちょっと分かりませんでした…多体問題関係なんでしょうかね?

 

Ray Tracing

 光線(ray)などによる描画, 或いはその有様を表現するための処理能力です.

 

Rigid Body Physics

 ここでのRigid Bodyとは, 恐らくゲームエンジンUnityなどで利用される物理シミュレーションのコンポーネントでしょう.

 その処理能力でしょうね.

 

HDR

 カメラでのHDR撮影の処理能力です.

 

Gaussian Blur

 画像処理の"ぼかし"技術の一つで, ガウス関数を用いたものです.

 

Speech Recognition

 音声認識の処理能力です.

 

Face Detection

 こちらは顔認識の処理能力です.

 

Memory Copy

 メモリ領域にあるデータをコピーする際の処理能力でしょうかね?

 

Memory Latency

 データ転送によっては, 相手の返答が来るまで次の処理を待つ必要があります.

 その待ち時間(遅延時間)に関するスコアのようです.

 

Memory Bandwidth

 Memory Bandwidth(メモリ帯域幅)とは, 特定の時間に行える処理容量のことです.

 

 

 思ったより新しい項目が増え, 代わりにいくつか廃止されていますね.

 

 html5に関するベンチマークなど, 新しいものを採用している印象です.

 

 

  Geekbench4の初期レビューはこちら.

thetheorier.hatenablog.com

 

 

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