この考え方は合同式に絡みこれまでにも触れてきましたが, 本題に沿って改めて紹介しましょう.
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除法の定理
本題のカギは除法の定理になります.
[定理:除法の定理]
整数 について,
を満たす整数の組 がただ一組存在する.
除法の定理の言わんとする点は, と との関係は勿論のこと, 任意の は 個の
という形で表すことができることを意味しています.
つまり任意の整数 は
の何れかで表すことができる, 言いかえれば「分類できる」ことになります.
通常はこれで問題ありません, しかし表記の仕方はこれだけなのでしょうか?
証明にヒントが
そのカギは除法の定理の証明法の一つの内容にあります.
の倍数を小さい順に並べると
…(1)
となります.
任意の整数 は上で並べた隣り合う特定の2数の間に必ず存在しますね, つまりある整数 が存在して
を満たします.
除法の定理はここから「余り」に相当する数 を指定しますね.
少し変える
任意の数 は何も の倍数である必要はありません.
これを等間隔にズラしたものでも構いません, 従って例えば(1)から整数 だけズラした
…(2)
と の関係を考えても良いはずです.
この(2)を用いれば, 任意の は(2)による隣り合う2数の間に必ず存在します, つまりある整数 が存在して
を満たします, よって
と を置けば は であり, 上は変形して
となります.
は任意でしたから, を表す 個の列
は各々を同じ数で足し引きしても問題ないことになります.
例えば整数 は整数 を用いて
の何れかで表すことができますが, 例えばこの各々を 引いた
でもやはり任意の整数を表すのです.