頻繁に議論となり, 度々否定される の証明を紹介したいと思います.
証明は複数あるわけですが, その内のオーソドックスな方法では納得しない方が多い故, それらは敢えて紹介しません.
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準備
全順序と狭義全順序
まず準備として全順序集合というものを紹介します.
言葉は知らなくても中身はよく知っているというか, 当たり前に思えることでしょう.
[定義:全順序集合]
集合 に対し, 次の順序 が定められているとき, 組 を全順序集合と言います.
- かつ ならば
- かつ ならば
- または のいずれかが必ず成り立つ
[定義:狭義全順序]
全順序集合 に対し, 以下を満たす狭義全順序 が存在します.
- }]
稠密性
[定義:稠密性]
狭義全順序集合 について, 任意の元 に対して, の組み合わせに応じて
を満たす元 が存在する.
例えば有理数や実数は稠密なわけですが, これは例えば各々の任意の元 について例えば
が成り立つからです.
稠密性は簡単に言えば数がたくさん敷き詰められていることを意味します.
しかしその「敷き詰められている」具合はタオルのようなもので, 「水を通してしまう」程度のものです.
実数はこの稠密の上に, これより更に数が隙間なく敷き詰められた「完備」という条件を満たしています.
0.999... = 1
では本題です.
と が等しくない, つまり と仮定して話を進めます.
少なくとも と が共に実数の元であることは認めましょう.
ここで, について明らかであることを整理してみましょう.
つまり
- (1)任意の実数 について, ならば
- (2)
です.
また(1)の対偶を取ると,
任意の実数 について, ならば …(1')
仮定より なので, (1')はもう少し制約が強い以下にできます.
任意の実数 について, ならば …(1'')
次に上記の稠密性の定義より実数 は の条件を満たせば任意ですから, これと仮定より としても良いですね, つまり
を満たす実数 が存在する …(2)
ここで (1'')と(2)を並べてみましょう((1'')は(2)に合わせて左右変形しています).
任意の実数 について, ならば …(1'')
を満たす実数 が存在する …(2)
(1'') では「 より大きな実数はいずれも 以上」であるのに対し, (2)では「 より大きく より小さい実数が存在する」と言っており, 互いに矛盾しています.
これは と が等しくないと仮定したのが間違っていることになります.
従って と言えます.
〆
敢えて回りくどく書いていますがやっていることは非常に単純です.
稠密性も内容はまったく難しいものではありません.