
以前似た内容を書きましたが今回は更に掘り下げます.
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バッテリー劣化の主要因
初っ端から結論を書いておきます.
このBattery Universityというサイトにある通り、劣化の主要因は以下の3つです(今後もこのサイトの内容を頻繁に参考にします).
- 高温
- 高充電電圧
- 深放電
高温
高温はリチウムイオン電池が劣化する主要因として一番に挙げられる最も影響のある要素です.
単純に保管しておくだけでも温度が上がるほど容量低下が急激に進みます.
高温状態だとバッテリーの電解質の分解や副反応、SEI層の成長、内部抵抗の増加…といった化学変化が加速しやすくなり、劣化を早めます.
加えて満充電状態が重なると劣化がさらに加速します.
高温環境にさらされると、バッテリー容量が恒久的に低下する可能性があります。
このように、Appleの公式サポートでも強調して説明されているほどです.
特に危険なのは例えば以下です:
- 真夏の車内
- 直射日光
- 充電しながらの高負荷使用
- ナビ+充電+高気温
- 炎天下での動画撮影
いくつかある節約テクニックで扱われる内容に比べて高温を避けることは圧倒的に重要です.
特に充電しながらの操作は高温になりやすいため、更に高負荷な使用をすれば劣化が激しく進む可能性があります.
高電圧充電
そもそもリチウムイオン電池は、現在流通する中で体重あたりのエネルギー、体積あたりのエネルギーが他に比べて共に高い充電池です.
小型化・薄型化でき、自己放電も少なく、メモリー効果もほぼなく、充電効率も良いということでスマホ以外でも使われています.
他に比べて高電圧を維持できる一方で、電圧の多寡でも劣化の変動に影響します、実際には高電圧であるほど同等の劣化に至るまでの充放電回数は少なくなる、つまり劣化しやすい…と言えます.
高電圧による充電は充電時間が短くなるので魅力的ですが、通常より発熱しやすく、高電圧による副反応も増加し劣化を加速させてしまうわけです.
そのためiPhoneに限らずスマートフォンでは、高速充電であっても80%になると電流を落とすことでゆっくり満充電させることで発熱を抑え、高電圧滞留を減らす工夫がされています.
深放電
バッテリーの電圧が非常に低い状態まで放電されることを深放電と言います.
リチウムイオン電池は、通常であれば
- 約4.2V:満充電
- 約3V:放電下限
の範囲で動作しており、この下限付近で使っている状態を指します.
深放電状態だと電極材料にストレスがかかり、バッテリー内部の化学構造が劣化してしまいます.
これが更に進むと「過放電」という状態になります.
電圧が極端に下がった過放電の状態では内部ショートの可能性やバッテリーの不可逆劣化が起き、充電できなかったり容量が大きく減る問題が起きます.
これがよく言われる「長期間0%の状態にするとバッテリーが痛む」というヤツです.
しかし一般的なスマートフォンではバッテリーが保護回路や電池管理ICによって電圧が危険なレベルになる前に電源が切れるようになっています.
ようは本当に電源が切れるような電圧になる前に「バッテリー切れの扱いにしている」わけです.
電源が落ちていても位置情報やiPhoneを探すなどの機能が使えるのはこれによるものです.
逆に言うとこれらも使えない状態…というのは「本当に電池が空」ということです.
高負荷は直接の劣化要因ではない
ゲームなどの高負荷アプリはCPUやGPUの使用率を上げ、バッテリーの消費電力を増加させます.
しかしバッテリーの劣化を直接引き起こすのは上の三点による化学ストレスであり、高負荷なアプリを使ったからといってそれが直接の要因にはなりません.
結果的にそれによって端末を発熱させる…といったことがあれば一端使用を控えるなどすべきですが、そうでないなら気兼ねなく使って大丈夫です.
iPhoneの場合は
- 充電制御
- CPUクロック制御
- サーマル制御
などにより、温度が上がると処理能力を下げることで制御する仕組みがあります.
それでも発熱が収まらないなら少し休ませる程度で大丈夫です.
そういう意味では
- 高負荷ゲーム
- 充電中
- 温度環境(高温)
が熱くなりやすい状況として挙げられるわけです.
本当?過剰表現?
ここからはよく言われる内容について整理してみます.
1:100%表示、満充電、過充電
ディスプレイ上に表示されるあのバッテリー残量は、電池管理システムが電圧や電流、温度、過去の充放電履歴などから計算して推定しています.
満充電とはリチウムイオン電池が約4.2Vに達し、定電圧充電が終わった段階を指します(スマホによって4.2~4.4V程度).
満充電は充電プロセスを含めた状態であるため、残量100%とはイコールの関係ではないですが、概ね同じと扱って問題ありません.
過充電とは、設計最大電圧を超えて充電することを指します.
最大電圧が4.2Vなら、4.25Vや4.3V…となってしまっている状態です.
このようなことを起きると電解質が分解したり、リチウムが析出し、発熱し、最悪発火する恐れがあります.
3つの関係を書くと下のようになります
100%表示(ソフト上の目安)
↓
満充電(正常な上限)
↓
過充電(危険)
そのためスマートフォンにはバッテリーの管理や充電制御を行う仕組みが存在します.
スマートフォンの場合、過充電対策として主に以下の対策が講じられています.
- 充電制御IC(電源管理IC)
最大電圧や最大電流の制御、CC/CV充電の管理といった充電に関わる基本ルールを制御します - バッテリー管理システム(BMS)
電圧や電流、温度を監視し、設計値を超えると充電を停止します - 保護回路
バッテリーについている保護回路で、電圧異常を検知すると回路を遮断することで電流を停止する過充電保護の機能を備えています - 温度センサー
先の通りリチウムイオン電池は高温(と低温)で危険な状態となるため、指定温度を超えると充電を停止する機能があります
1-1:過充電対策
リチウムイオン電池はSonyが1991年に初めて商用化し、その時点で
- 過充電保護回路
- 過放電保護回路
- 電流制限
などの安全機構が導入されていました.
バッテリーパック内部に保護ICとMOSFETスイッチを組み込む現在も残る基本形が導入されており、2000年代にノートPCや携帯電話の普及に伴い充電抑制ICやBMSが登場し、CC/CV充電制御や温度監視、電流抑制も高度化していきます.
スマートフォンの登場で更に温度制御や充電速度制御、ソフトウエアによる寿命管理といったより高度な管理が導入されていき、現在に至ります.
過充電はこれらの複合的な対策によって堅牢になっているわけですね.
加えてスマートフォンというのは各国で販売されています.
となると販売する先の安全認証を満たすよう作らないといけません.
日本ならPSE、アメリカならFCC/UL、EUならCEマーキング、中国ならCCC…といった具合です.
更にIEC 62133のようなバッテリー安全規格、UN 38.3のような輸送規制もクリアしなければなりません.
国内で完結する商品でないゆえに、これらの技術安全規格、国際規格、法律を満たすことで過充電の起こりにくい堅牢な仕組みになっているわけです.
確率はゼロではありませんが、この時代に過充電を起こすリスクは非常に稀です.
2:20-28%充電
これもよく言われる話ですね.
上で書いた通り、0%付近では深放電リスク、そして100%付近では高電圧リスクがあるため、その間を使う…という発想です.
実際Battery Universityでも、浅い充放電の方がサイクル寿命が長いという結果が出ています(ここで言う「寿命」は長持ちの意味での寿命ではありません).
しかしこれはリチウムイオン電池そのものの話です.
先程書いた通り、スマートフォンはこういったリスクから回避するために余裕を持ってバッテリー残量の表示と制御を行っています、つまり
- 100%表示が実際の100%ではない
- 0%表示が実際の0%ではない
- BMSで充電保護されている
、これらの安全マージンがあります.
そのため理論としては正しいですが、安全マージンがあるため必須ではないというのが正しいと言えます.
仮に実践するとしても、それは放電深度を浅くすることで電池ストレスを減らす効果はありますが、それも安全マージンによって効果は薄く、そこまでシビアに考える必要はありません.
放電側なら低電力モードがありますしね.
3:最大容量
次は最大容量です.
一見、単なる残り電池量と考えるかもしれませんが、そう簡単なものではありません.
そもそもスマホは電池の容量を直接測ることはできません、そのためBMSが次のデータから推定して計算しています:
- 充電量
- 電圧
- 温度
- 内部抵抗
- 充放電履歴
- 充放電回数(サイクル数)
この計算は新規購入時や端末の再起動、iOSのアップデート時などに再補正(キャリブレーション)を行います(毎回行うわけではありません).
計算した値は所詮推定値、そのため充放電の履歴やキャリブレーション自体の頻度次第でいきなり数%落ちたり、逆に増えることがあります.
後者の場合は「本来の値に修正された」だけの可能性があるため、急激な変化ではない可能性も視野に入ります.
この最大容量が寿命を意味する…と言いたいのですが、実際の電池劣化は主に次の2つです:
- 容量劣化→充電量が減る
- 出力劣化→電力を出せない
前者が最大容量の話になるわけですが、後者は内部抵抗の増加や電圧降下によるものです、そのため例えば「最大容量はあるのに温度が低くて突然シャットダウン」なんてことが起こります.
「ピークパフォーマンス性能」はこの問題を解決するために採用されたものです.
そしてこれらが「80%でバッテリー交換」に繋がっていきます.
3-1:最大容量80%
Appleは最大容量80%がバッテリー交換の目安としています.
なので80%を切ったら寿命…と喧伝する界隈が多いわけですが、実際の意味は「性能・体験の低下が目立ち始める統計的な限界」です.
Appleの基本的なコンセプトは「シンプルで使いやすい」です(皆さんがそう思ってるかはともかく…).
この80という数字はスマホ独自のものではなく、電池業界の標準的な寿命定義から来ています.
バッテリーが著しく劣化している場合は、以下のメッセージも表示されます。
お使いのバッテリーは著しく劣化しています。Apple正規サービスプロバイダでバッテリーを交換すると、最大限のパフォーマンスや容量を取り戻すことができます。サービスオプションについての詳しい情報…
このメッセージは安全性の問題を示すものではありません。このバッテリーを引き続きお使いになっても問題ありません。ただし、バッテリーとパフォーマンスの問題がより顕著に感じられるようになるかもしれません。
最大容量が80%を切ると表示されるこのメッセージ、「著しく劣化」という表現があるためあたかも「バッテリー交換必須」と言わんばかりに触れ回るケースがありますが、その下の説明の通りそのまま使っても問題ありません.
ここで言う劣化とは「容量低下」や「内部抵抗増加」などの性能劣化のことを指しており、ようは「危険ではないけどユーザー体感は悪くなる」という意味です.
4:充放電回数(サイクル数)
iPhone15シリーズ以降であれば最大容量と同じページで簡単に見れるようになった充放電回数です.
「どれだけ使ったか」という指標は色んな場面で活用できますが、そもそも人によって一日にどれだけどのように使うかはバラバラです、そんな状況で一年使った、二年使った…というのは指標として微妙なところ.
そこで代わりになるのがこの充放電回数です.
充放電回数は、Appleの定義では「バッテリー容量の100%分を消費したら1カウント」となります.
例えば100%の状態から1日目に0%、2日目100%使えば1回、同じく100%の状態から1日目に20%、2日目に80%使えばこれも1回です.
iPhone 14モデル以前のバッテリーは、理想的な条件下で使用された場合、フル充電サイクルを500回繰り返した後も本来の蓄電容量の80%を維持するよう設計されています1。iPhone 15モデルのバッテリーは、理想的な条件下で使用された場合、フル充電サイクルを1,000回繰り返した後も本来の蓄電容量の80%を維持するよう設計されています1。
公式にある通り、最大容量との関係として、iPhone14シリーズまでであれば充放電回数500回で最大容量80%、iPhone15シリーズ以降であれば充放電回数1000回で最大容量80%という指標になっています.
ただしこれも使い方次第で結果は全然違います、例えば僕のiPhone8であれば最大容量80%を切る直前の充放電回数は1737、逆に充放電回数が初めて500以上になった日の最大容量は91%でした.
機種や使い方次第ですが大抵は500(or1000)回で80%よりかなり余裕のある状況になっていると思います.
充放電回数は「使用期間」に代わる指標のため最大容量とある程度の相関はありますが、最大容量の説明からもわかるように、相関関係はありますが因果関係となると充放電回数ひとつでは成り立ちません.
最大容量や劣化を理解する上で重要な概念ではありますが、充放電回数そのものを劣化の指標とするのはやや乱暴です.
5:低電力モード
低電力モードでは以下のような制御が行われます:
- CPU/GPU性能制限
- バックグラウンド更新停止
- 5G制限
- メール取得頻度低下
- 自動ロック
- 一部の視覚効果停止
低電力モードは、バッテリー残量が少なくなるとiPhoneやiPadのバックグラウンド処理を減らし、バッテリーの駆動時間を延ばします。
タイトルに「長持ち」とあるので誤解するインフルエンサーもいるんでしょうね、バッテリー節約法として低電力モードをピックアップする動画がちらほらあります.
しかし一文目にあるとおり、この機能はあくまでも「バッテリー残量が少なくなる」ときに使う機能です.
残量が少なくなり、次に充電するまでの繋ぎとして使うのが正しい目的です.
なので普段遣いで低電力モードをオンにしていると常にパフォーマンスが低く、一部機能が制限された状態で使いにくくなります.
さらにこの状態で高負荷ゲームなど高温になりがちな使い方をすれば、言ってみれば「ブレーキを踏みながら車を走らせる」ようなもので、節約と真逆の行為です.
低電力モードはバッテリー残量が少ないときや就寝時など長時間触れない時に限って使いましょう.
低電力モードはその内容からわかるように活動量を減らす機能であり、間違っても節約や寿命に寄与する機能ではありません.
6:バッテリー充電の最適化と充電上限
バッテリー制御のソフトウエア側の筆頭であるこの2つの機能はそれぞれ以下の特徴を持ちます.
- バッテリー充電の最適化
通常充電→80%で一時停止→起床時に残りの20%を充電 - 充電上限
設定したバッテリー残量で充電停止
バッテリー充電の最適化は「充電する場所と時間」を学習させる必要があります、そのためこの機能をオンにしただけではすぐには機能せず、位置情報をオンにした上で希望の場所で充電したまま就寝する、生活パターンを学習させる必要があります.
またその仕組み上、適用されるのは1日に1回以下となります(やろうと思えば複数回できますがあまり意味はありません).
対して充電上限は学習などの手間は不要で、条件を満たすなら一日に何度も機能します.
どちらもバッテリー劣化対策であり、似ているようで少しずつ違います.
バッテリー充電の最適化は基本的に「就寝時に充電しながら寝る」場合を想定しています.
iPhoneを操作しようがない就寝時に長時間の満充電を、最悪過充電にならないよう、最初に100%になるタイミングを遅らせるのが目的です.
負担を限りなく減らした上で100%にする機能ですが、2週間程度学習させる必要があり、しかも(普通なら)一日に一度しか適用されません.
「充電上限」が100%でないと機能しないのも注意です.
充電上限は更に直接的で、設定したバッテリー残量に達すると停止してくれます.
高電圧状態を回避することでバッテリーへのストレスを抑制します.
Battery Universityの結果では充電上限運用で最大1.5~2倍になる可能性が示されています.
ただしBattery Universityはリチウムイオン電池全体の研究であるため、スマートフォンとしてであればこれほどの効果はないと考えられます.
なにより充電上限のデメリットは上限を下げることで使用可能容量が減ってしまうことです.
実際には減ってはいないわけですが、普段より相対的にバッテリー残量が早く減り、充電回数が増える煩わしさを許容する必要があります.
6-1:どっちがいい?
バッテリー充電の最適化と充電上限、どちらを使うべきかが気になるところですが、理論的に比較すれば充電上限の方が効果的です.
1日24時間、どのタイミングで充電しても高電圧下によるバッテリーのストレスを避けることができるのは大きな強みです.
一方で日常の使い勝手を考えるとバッテリー充電の最適化がバランスの良い選択です.
通常であれば充電上限を使うのが良いわけですが、先の通りスマートフォンはBMSなどにより安全マージンが取られているからです.
既に充電上限の機能がある状態で高電圧時の安全マージンを取るのが充電上限の機能と言えます.
実際Appleは使い勝手のよい最適化を先に導入し、充電上限はその後の採用されています.
最適化で学習させるのが面倒、でも上限を厳しくするのは使い勝手が悪い…と感じるなら、充電上限の85%や90%あたりを使うといいでしょう.
7:位置情報
バッテリー充電の最適化に関わります.
バッテリー消費を早める天敵として扱われる位置情報ですが、バッテリー充電の最適化は時間と共に位置の学習が必要のため、他の「節約法」に流されてオフにし、他方で最適化を推す動画を参考に最適化のスイッチをオンにしても、いつまでも学習が終わらずいつまでも機能しない…なんてことが起こります.
「バッテリー充電の最適化」は、自宅や職場など、長い時間を過ごす場所でしか働かないようになっています。「バッテリー充電の最適化」は、iPhoneの設定後、まず14日以上かけて充電の習慣を学習してからでないと働きません。また、iPhoneを特定の場所で9回以上、毎回5時間以上充電してからでないと、「バッテリー充電の最適化」は機能しません。
この機能は、充電の習慣にばらつきがある場合や、旅行中、または充電時間が短い場合には働かないようになっています。そのため、「バッテリー充電の最適化」を使うには、一部の位置情報の設定を有効にしておく必要があります。この機能で使われる位置情報がAppleに送信されることはありません。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」の順に選択し、「位置情報サービス」をオンにします。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」>「システムサービス」の順に選択し、「システムカスタマイズ」をオンにします。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」>「システムサービス」>「利用頻度の高い場所」の順に選択し、「利用頻度の高い場所」をオンにします。
バッテリー充電の最適化を利用したい場合は、これらの位置情報に関わる設定をすべてオンにする必要があります.
8:ダークモードとホワイトバランス
バッテリーの節約になりそうなイメージのダークモード.
黒画面になることでOLED画面ならば電力が抑えられる…という理屈です.
しかしこれはあくまでも消費電力の話で、劣化に直結する話ではありません.
なんならダークモードによる消費削減自体はあるものの、暗いことで輝度を上げ、その分バッテリーを消費してしまうという本末転倒なケースになることがあるそうです.
まあ暗くして肝心の画面の内容が見えない、読めない…じゃ意味がないですからね.
ホワイトバランスも同様です.
これらの目的はあくまで目の負担を軽減するといったものであり、節約や劣化抑制には遠い存在です.
9:バックグラウンド更新
これもバッテリー節約の類で取り上げられる筆頭のひとつですね.
確かにバッテリー消費には繋がりますが寿命とは直接関係ありません.
またこれもバッテリー充電の最適化の学習を阻害する可能性があります.
10:高負荷ゲーム、急速充電
これもよく挙げられますね.
しかし最初に書いた通り、問題なのはこれらによる発熱であって高負荷なゲームをしたり急速充電すること自体は直接的な問題ではありません.
発熱していなければ遊んでも、急速充電しても大丈夫です.
11:適応型電力制御
最後にiOS26で一部の機種に追加された適応型電力制御です.
これは低電力モードを自動化・高度化したような機能で、使用状況を自動で学習し、バッテリー残量や不可に応じて以下を微調整します:
- CPU性能
- 画面輝度
- バックグラウンド処理
低電力モードが「手動で強い節電」であるのに対し、適応型電力制御は「自動で軽い節電」と言えます.
発熱を多少抑える可能性はありますがあくまでも「微調整」なので、高温や高電圧を直接防ぐ機能ではありません.
そのため劣化対策としては充電上限やバッテリー充電の最適化に劣ります.
適応型電力制御は、充電の習慣を学習するのに少なくとも7日かかるため、学習が完了するまでは作動しません。
バッテリー充電の最適化と違って学習に必要な条件は特にないため、オンにして普段通り使っていれば学習が終わって機能し始めます.
劣化対策や節電といった効果は大きくありませんが、手軽に機能させることができるため、対応する機種であればオンにして放置しておけば大丈夫です.
対応機種のうちiPhone15,16シリーズについてはデフォルトでオフになっているため、それらのユーザーは忘れずオンにしておきましょう.
まとめ
以上を簡単に表でまとめました.
スマートフォンでの使用を前提とした内容なのでリチウムイオン電池全体での話と若干異なる場合があります.
| 項目 | 劣化への影響 | 補足 | 節約効果の目安 |
|---|---|---|---|
| 高温環境(直射日光・真夏車内など) | ◎ | 温度上昇により電池の化学反応が加速し、容量低下が早まる。Appleも最も注意すべき要因として案内している。 | × |
| 高負荷使用(高温時) | ◎ | ゲーム・動画撮影・ナビなどでCPU負荷と発熱が増え、バッテリー温度が上がると劣化が進みやすい。 | △ |
| 100%充電の長時間維持 | ◯ | 高電圧状態が続くと劣化が進みやすい。ただしスマホでは電圧に余裕を持たせて制御されている。 | × |
| 20〜80%充電 | ◯ | 高電圧状態を避けられるため劣化抑制に有効とされる。ただし使い方が制限される。 | ◯ |
| 充電上限設定 | ◯ | 充電を80〜90%などで停止することで高電圧状態を回避できる。 | ◯ |
| バッテリー充電の最適化 | ◯ | 100%状態の滞在時間を減らすことで劣化を抑える仕組み。生活パターンを学習して動作する。 | ◯ |
| 満充電(理論上) | △ | リチウム電池では4.2V付近の高電圧で劣化が進む。ただしスマホでは余裕を持って制御されているため完全満充電にはなりにくい。 | × |
| 過充電(理論上) | △ | スマホでは充電IC・BMS・OSの保護機構があり通常使用ではほぼ発生しない。 | × |
| 0%放置(長期) | △ | 表示0%でも実際は完全放電ではないが、長期間放置すると深放電になる可能性がある。 | × |
| 位置情報 | △ | 電力消費はあるが劣化への直接影響は小さい。充電最適化の学習に影響する場合がある。 | △ |
| バックグラウンド更新 | △ | 消費電力は増える可能性があるが劣化への影響は小さい。 | △ |
| 適応型電力制御 | △ | 使用状況を学習して電力消費を自動調整する機能。主目的は「その日の電池持ち改善」。 | ◯ |
| 低電力モード | × | CPU性能やバックグラウンド処理を制限して節電する機能。劣化速度にはほぼ影響しない。 | ◯ |
| ダークモード | × | OLEDでは多少節電可能だが劣化には影響しない。 | △ |
| ホワイトバランス | × | 表示色の違いによる消費差は小さく、劣化にはほぼ影響しない。 | × |
[補足]
- 劣化への影響
◎…直接的・主要な劣化要因
◯…条件次第で劣化抑制や影響がある
△…間接的・微小、または誤解されやすい
×…劣化にほぼ影響なし - 節約効果への目安
◎=高、◯=中、△=低、×=ほぼなし
ネットに拡散される動画を見て思うのは、以下のようなイメージが広まっている点です:
- バッテリー消費が多い→劣化
- バッテリーを長持ちさせる→劣化抑制
まったく無関係とは言いませんが、実際にはバッテリーの消費量が劣化に直結するのでなく、最初に書いた通り高温や高電圧、深放電が強く影響します.
バッテリーをたくさん使ったからといって劣化するとは限らないわけです.
節約は使用時間を伸ばしますが、劣化対策は温度管理が重要なわけですね.
いずれにしろ節電と劣化抑制は別の概念です.
節電設定の多くは「使用時間を延ばす」効果はありますが、「劣化抑制」への影響は小さい場合があります。
そこで、同じ項目の節電対策と劣化抑制にフォーカスして書き直しました.
| 項目 | 劣化への影響 | 節約効果 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 劣化に強く影響する要因(温度・充電状態) | |||
| 高温環境(直射日光・真夏の車内など) | ★★★★★ | △ | リチウムイオン電池は高温で急速に劣化する。スマホ劣化の最大要因。 |
| 高温時の高負荷使用(ゲーム・動画撮影など) | ★★★★☆ | △ | 発熱+高電流で電池ストレスが増える。 |
| 充電しながら高負荷使用 | ★★★★☆ | △ | 充電による発熱とCPU発熱が重なりやすい。 |
| 満充電状態で長時間放置 | ★★★☆☆ | △ |
高電圧状態が長く続くと劣化が進みやすい。 |
| 0%付近で長時間放置 | ★★★☆☆ | △ | 深放電は電池にダメージを与える可能性がある。 |
| 充電サイクル(使用回数) | ★★☆☆☆ | △ | 使用回数に比例して徐々に劣化する。 |
| 過充電 | ★☆☆☆☆ | △ | スマートフォンでは充電制御により基本的に発生しない。 |
| 主にバッテリー節約に関係する設定(劣化への影響は小さい) | |||
| 画面輝度を下げる | ★☆☆☆☆ | ★★★ | 節電効果は大きいが劣化抑制効果は小さい。 |
| ダークモード | ★☆☆☆☆ | ★★ | OLEDでは消費電力が減る場合があるが劣化にはほぼ影響しない。 |
| 位置情報・バックグラウンド更新 | ★☆☆☆☆ | ★〜★★ | 節電効果はあるが劣化への影響はほぼない。 |
| 適応型電力制御(Adaptive Power Mode 等) | ★☆☆☆☆ | ★ | 消費電力を調整する機能。主目的は節電。 |
バッテリーの使用時間を伸ばしたいのか、劣化を抑える使い方をしたいのか、使い勝手を優先するか…に合わせて判断しましょう.
