
良くも悪くも「良いデータ」が取れました.
過去の記録を見た上で読むと変化の大きさがよくわかると思います.
※価格は記事執筆時のものです. 現在の価格はApp Storeから確認ください.
※この記事にあるグラフは、変化の違いを優先させるために0値からの描画でないものを使用しています.
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日に日に起こる異変
iPhone8でバッテリーの解析データを記録してはや5年半を過ぎました.
ある程度の劣化は許容範囲ということで「らしい」記録になるようそれ相当に使ってきました.

8月当初はまだまだ比較的普通に推移していました.
RawもNominalも最大容量とほぼ同じ、内部抵抗値も正常範囲と言われる200~400mΩに収まっています.

ひとつの転機が8月4日でした
多くの値が正常な中、Raw、実質値が急落しま、内部抵抗値(劣化込み、以下同様)の値が初めて許容値を超え458mΩを記録します.
内部抵抗の実測値も同様に上昇していき、お盆を迎える頃には画像のように内部抵抗値が許容値の二倍を軽く超えるほどになってしまいます.
この頃にはNominal Charge Capacityすらも急落する日が出てきます.
また実質容量も不安定になり、気づいたらバッテリー切れになっている…なんてことが現れ始めます.

そして8月17日、とうとう最大容量が76%から一気に50%に暴落します.
そもそもiPhoneでは、バッテリーの実際の容量を決まったルールで定期的に調べ、補正(調整)しており、最大容量も同様に調整が必要かどうかをチェックしており、これをキャリブレーションと言います.
キャリブレーションは主に以下のときに行われます(必ず学習・更新されるわけではないです):
- 新規購入時やバッテリー交換直後
- OSアップデート後
- 満充電から深い放電(10%以下)を行った場合
- 長時間の電源オフ→再起動
- Wi-Fiネット枠条件の変化
逆にこれらの頻度が少ないと、更新が遅れる可能性があります、その場合直近に行われた更新によって例えば最大容量が数%一気に減るという現象が起こります.
この場合は「本来の値に修正された」と解釈されるべきで、必ずしもそのタイミングに急激な劣化が起こったことを意味するとは限らないということです.
しかしそんなキャリブレーションによる調整も、どんな条件であってもせいぜい数%程度で、今回のような26%もの変化はそれだけでは説明できません.
ここまで来ると考えられるのは例えば以下です:
- バッテリーセル自体の深刻な劣化
- 内部セルの一部が機能しなくなった
- 安全機構の発動
3つ目は内部抵抗の上昇で発熱・膨張リスクが高まると、システムが利用可能容量を制限する仕組みです.
今回はいずれの要因も普通に考えられますね.

記事執筆時の最新情報では内部抵抗は更に上がって1715mΩまで上昇しています.
7月からの推移
ここからは7月からの中期的な推移を見てみます.

まずはバッテリー容量の実能力関係であるMinimumQmaxとRaw Max Capacity、Nominal Charge Capacityです.
どこまでシビアに判断するか…までは難しいところですが、それまで大きくブレなかったのが8月4日を機にRaw・Nominalともに大きく変動しています.
MinimumQmaxは「本来のバッテリー能力」という解釈です.

RawとNominalの比であるデフレーターです(今回は先日紹介したものを上下に反転しています).
過去に紹介した通り、夏季は100前後であることがほとんど、冬季でも経年劣化分を除いてせいぜい変動が10以下であることを考えるとその異常さが嫌と言うほど見て取れます.
異常な変動は約一ヶ月続いて今は落ち着いているように見えますが、まだ数日十数日見ないと結論できない状況です.

デフレーターと最大容量をひとつのグラフにしたものです.
こうして見るとデフレーターの異常変動が反転した数日後に最大容量の急落が起こったと見ることができます.

設定画面などからは見れない内部抵抗値を見てみます.
やはり8月3日くらいまでは許容範囲を推移していますが、それを機に減少することなく数値が上がっていきます.
8月後半からは常に上がるわけではなく、数日かけて変化しています.

最後に内部抵抗値(劣化込み)とデフレーター、最大容量を一緒に見てみます.
改めて見ると、
抵抗値が許容範囲を超える
→デフレーターの異常・反転、rawやNominalの急落
→最大容量の急落
という流れが推測できます.
発熱と挙動
ここまで容量が減って内部抵抗値が大きいと、以下のことが起こり得ます:
- 実質容量が少ないため、満充電してもすぐに減る
- 内部抵抗値が大きいため充電効率が落ちているため、充電が早く終るわけではない
- 充電によって内部からの発熱が意外と大きくないことがある
- ピーク充電不足で高負荷の機能やアプリが不安定になる
- システムによるパフォーマンス制御が行われる
- 膨張リスクは変わらず
- 残量測定精度が落ち、再起動後に再び電源が落ちることがある
とくに最後が面倒で、対処法としては「充電したままロック画面で電源を切る」ことです.
充電しっぱなしがよくないとわかっていても一度電源が落ちると再起動が面倒になります.
〆
今回の場合だと、きっかけと思われる減少から実際に最大容量が暴落するまでの日数は2週間あるかどうか…ということになります.
ただ惜しまれるのは、ここまで記録を取っている公のユーザーが自分を除いていないっぽいところですね.
なのでこれが他の端末でも参考になるかの保障が一切ありません.
実際内部抵抗値だけで言うと自分のメイン機であるiPhone12miniは記事執筆時点の最新で390mΩなのでギリギリです.
それでも修理や交換を判断する指標のひとつにはなりそうですね.

