もう一人のY君

iPhoneアプリのレビューやアップデートレビューなどを書いています. たまに数学の記事も書きます.

もう一人のY君 MENU  MENU

【数学】いろいろな尺度

170130_00

 世の中には色んなものの数え方や測り方がありますが, これらはいくつかの性質によって分類されています.

 

 

尺度とは

 尺度というのは様々なデータや測度値などを, 数学的・統計的に分類する基準のことです.

 スタンレー・スティーヴンスという人物が考えだしたものですが, 数学的に見るか, 科学的に見るか…等々で対象がどの尺度であるかは異なる場合があります.

 

 

名義尺度

 データや数値などに関して, 互いに同じであるかどうかのみが基準の対象となります.

 例えば電話番号や性別, 郵便番号などがこれに当てはまります.

 

 尺度で分類される要素は主に

 

  • 順序をつけられるか
  • 四則演算ができるか

 

となっており, 今回の名義尺度はいづれも当てはまらない尺度に該当します.

 実際例えば郵便番号に順番などありませんし足し引きすることに意味はありませんね.

 統計学における指標で当てはまるのは最頻値になります.

 

  • 電話番号
  • 性別
  • 郵便番号
  • カテゴリ
  • 血液型

 

 以降, 例で挙げるのもは基本的に数学から見たものになります.

 

 

順序尺度

 名義尺度の条件に加え, 任意の2つについて順番, つまり例えば大きいか小さいか, 先か後か…といったことができる尺度です.

 例えばテストの順位や何らかのデータの前日比, 統計学であれば中央値がこれに当てはまります.

 

 逆に先程の名義尺度となりうるデータなどは順序比較することに意味がないことが分かります.

 

  • テストの順位や成績
  • 前日比
  • 中央値
  • 製品の質
  • 程度を求めるアンケート(「当てはまる」「どちらでもない」「当てはまらない」など)

 

 

間隔尺度

 順序尺度の条件に加え, 「値の差」に意味がある尺度を間隔尺度と言います.

 解釈を変えればそのデータなどに決められた間隔を付けることができるものがこの間隔尺度に当てはまります, 従って加減を取ることに意味がある尺度となります.

 例えば温度(摂氏)は, 例えば1℃間隔で決まっているので差を取って例えば「3℃上がった」「1℃下がった」と考えることができます.

 しかし例えば10℃から20℃になったからと言って「2倍になった」とは言えません, つまり乗除を取ることに意味はありません.

 統計学の指標ならば算術平均や偏差値がこれに当てはまります.

 

  • 温度(摂氏, 華氏)
  • IQ
  • 日付, 月, 年
  • 算術平均
  • 偏差値
  • 緯度・経度
  • 角度

 

 

比尺度

 間隔尺度の条件に加え, 任意に取った2つの対象について乗除を取ることに意味があり, 加えて「絶対的なゼロ」に相当する対象が存在するものを比尺度と言います.

 絶対的なゼロとは, 言ってみれば代数学で言うところの「加法単位元」に相当します.

 参考書によっては「比例尺度」「比率尺度」などとも言います.

 例えば先程の気温でも絶対温度の場合は比尺度に当てはまります.

 摂氏0℃が絶対的なゼロでないのは, これが水(純水)の凝固点という相対的なゼロであることが原因です.

 統計学の指標ならば幾何平均がこれに当てはまります.

 

  • 温度(絶対温度)
  • 長さ, 面積, 体積
  • 幾何平均
  • 年齢, 身長, 体重
  • 時間

 

 

もう少し大きな分類

 スティーブンス氏は, この4つの尺度を更に大まかに分け, 名義尺度を「定性的なもの」, その他3つの尺度を「定量的なもの」と区別しています.

 定性的とは「ある」「ない」とか「できる」「できない」といった具体的な数値をとることができないことを言います.

 定量的とは定性的の対義として扱われ, つまり定性的とは逆に具体的な数値で表わすことができる, 数値で表わすことを言います.

 

 しかしこれもまた数学や科学など, どういった立場で考えるかによってその分類が異なり, 例えば四則演算(の一部でも良い)が可能である間隔尺度と比尺度, それができない名義尺度と順序尺度とに分けた「量的尺度」「質的尺度」とに分ける流儀も存在します.

 

 

  同一 順序 加減 乗除 
名義尺度  ◯  ×  ×  ×  定性的  質的 
順序尺度  ◯  ◯  ×  ×  定量的 
間隔尺度  ◯  ◯  ◯  ×  量的 
比尺度  ◯  ◯  ◯  ◯ 

 

 

 何らかのデータや対象を評価するとき, その尺度を明確にすることで, より正しい検証を行う手助けとなります.

 

 そういった場に立ち会うことになったとき, 少しでも役に立つことでしょう.