以前, 原始根の話をしましたが今回はその続きです.
原始根(復習)
例によって再び原始根の定義だけ書いておきます.
[定義:原始根]
素数 と, で割り切れない整数 について, が指数 に対応するとき, つまり よりも小さな正指数で とならないとき, を の原始根と呼ぶ.
その他の原始根を見つける
素数 によっては, たくさんの (実際には )素数があるわけですが, が小さいうちは から地道にやっても何とかなるものの, 大きくなるとそうはいきません.
というわけで今回は,つ原始根 を見つければ, これを用いて他の原始根も見つけられる…という理屈です.
[定理]
素数 とその原始根 について, がまた別の原始根であるための必要十分条件は
となることである.
[定理の証明]
先日のエントリにある補題2より, 素数 の任意の原始根 について
は規約代表です.
つまりこれら 個は互いに素であるということです.
もし が の原始根ならば, 上の規約代表の を に置き変えた
もまた規約代表です.
また上記が規約代表である以上, はこの 個のいづれかであることも間違いありません.
つまり は法 において の累乗と等しいということです.
よって合同式
は, 整数解 を持ちます.
ここで, 以下の補題を利用します.
[補題]
素数 について, が成り立つならば
である.
但し, は, を満たす最小の正指数のことである(この を位数と言う ).
[補題の証明]
を満たす整数 を取ると,
となるため, は より小さい数 に対応します.
しかし前回のエントリの補題1より, となる整数 は の倍数に限られることを考えると の定義から しかあり得ず, 従って
, つまり
となります.
この補題より, から
が成り立ちます.
1次合同式 が解を持つ必要十分条件は であることですから, 今回であれば
となります.
逆については, 上の演繹を逆に辿れば十分です.
この定理より, の原始根 を一つでも見つければ, なる における も の原始根…ということになるわけです.
実例
例えば で試してみましょう.
先日の数表から, の原始根は
の6個であることが分かります.
ではまず が分かっているとしてその他を求めてみます.
と互いに素な整数 は
ですから,
も原始根であるはずです.
計算してみると以下になります(法はいづれも)
見事にその他の原始根を網羅していますね.
試しに他の原始根, 例えば を既知として他の原始根が導かれるか試してみましょう, であることに注意すれば
と, やはり全部求まりましたね.
〆
他にもちょっとした原始根判定となるような定理もあります.