今回はちょっとしたお話.
不等号の呼び名
イコールが付いているものはさておき, これまでは不等号の記号
について, 日本語では特に個別の呼び名は定まっておらず, イコール付きを含めて不等号と呼び, 比較する2数とまとめて「~は~より大きい」「~は~より小さい」と呼んでいました.
それが知らぬうちに「大なり」「小なり」という呼び名が現れ, 既に市民権を得ているように見受けます.
因みに僕はプロフィールの通り2004年4月大学進学, 遡れば98年3月に小学校を卒業した世代ですが, 大学を卒業するまでそのような単語を現実では見聞きしたことはありませんでした, 学生はもちろんのこと, 講師もです.
せいぜい質問サイトなどネットがいいとこでしたね.
いつからか現れた単独名
参考書を漁っても中々出てこなかったのでまともな情報源は良くも悪くもネットになってしまいましたが, 粗方調べた結果, 初めての言及は1998年, マークダウン系のサイトのようです.
その後2000年は1年間特に記述あるサイトはなく, 2001年2月辺りから当たり前のように出てくる印象です.
小学校の学習指導要領を確認しても, 大なり, 小なりといった言葉は現れません.
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なお, 参考書等で記述がある古いものは, 分かる範囲では小学館辞典編集部の「句読点、記号・等号活用辞典」で2007年でした.
由来は英語から?
どのサイトも, 読み方や意味, 覚え方しか無く, 「何故そう読むようになったのか」に言及するサイトは皆無でした.
因みに英語で書くと「AはBより大きい」は A is greater than B ですし, 「AはBより小さい」なら A is less than B です(実際には他にも何通りかあります).
もこれに則ってか をそれぞれ
\gt \lt
と書きます.
この「greather」「less」に合わせたんでしょうね, 多分.
〆
これは僕の推論ですが, 一つの傾向として「各々の記号の読み方を知りたい」子が多いため, それに対応する形で後付けで名前が付けられ, 広がっていったんじゃないかなと.
数学では今回の不等号以外にも, 例えば や のように, それ単体では役の無い, 明確な名前の無い記号があったりします.
実際のところ記号というのは飽くまでも慣例に留まりますから, 或いはいつか学習指導要領に記述されるような改訂がおこなわれる可能性もゼロではありませんが.