もう一人のY君

iPhoneアプリのレビューやアップデートレビューなどを書いています. たまに数学の記事も書きます.

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iPhone8のバッテリー寿命の減衰4年間の記録【iPhoneショートカット】

 同一端末で記録を録って4年が経ちました.

 

 

ショートカット

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※価格は記事執筆時のものです. 現在の価格はApp Storeから確認ください.

 

 

 

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おさらい

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 我々が通常知りうる「バッテリーの状態」は設定アプリから確認できる画像の値です.

 それ以外に様々な情報を記録する仕組みがあり、そこから多様なデータを参照できます.

 

 

 

各種データについて

blog.thetheorier.com

 バッテリー寿命を測るレシピを含め、各種データの詳細についてはこちらを参照ください.

 

 

 紹介したレシピを使うことで上記のようなデータを把握することが可能になります.

 これらの情報からいくつかをグラフ化します.

 

 

 

 

結果

 まずは最大容量に加えて名目容量(Nominal Capacity)と実質容量(Raw Max Capacity)です.

 前回の冬季の時点で実質容量がかなり不安定でしたが今季も同様に劣化が見られます.

 冬季の途中なのでこの後どの程度一時劣化が続くか気になるところですね.

 

 

 

 

 上記から健全度(MinSOH)を加えたものです.

 ここではいずれも最大容量に対する割合となっています.

 実質容量の相対的な劣化に対して健全度の方が端末劣化の指標になるのでは…と監視し続けていますが前回の時点で既に123mAh、最大容量に対して約6.75%という値が続いています.

 そんな値が劣化の指標なら使いづらいはずですが実際にはそれほど変化を感じないのでやはり前回の考察通り他の要因が大きいのでしょう.

 名目容量と実質容量共に相関関係すら認められません.

 

 

 

 

 次は名目容量と実質容量の比であるデフレーターです.

 100を超えると一時的にバッテリーの実質容量減っている…ということになります.

 前回同様に冬季の一時的な劣化が確認できます.

 

  2021年 2022年 2023年 2024年(2/4まで)
105以上 15 27 36 10
110以上 1 2 13 5
120以上 0 0 9 2

 

 ちなみに各冬季にデフレーターが105、110、120を超えた日数は上の通りです.

 

 

 

 最大値を120にして再表示したものです.

 基本的には11月から3月で一時劣化の山が構成される様子ですが、年を経るにつれ一時的とはいえ7月や10月でもハネる日が出てきています.

 この時点で3月末まで2ヶ月弱、一時劣化が5%を超える日数がどれだけ増えるか気になります.

 

 

 

 

 続いて端末の最大容量の推移です.

 前回最後の記録82%がしばらく続いていましたがその継続日数は585日でした.

 

 前回も指摘した通り1日で3%減るときもあります.

 バッテリーが劣化する要因は様々であり、逆にここまで減ったから劣化の度合いはこのくらい…という判断は非常に難しいです.

 80%で交換の目安…というのはあくまで目安で、それに関係なく動作に問題が生じたり、70%前後に落ち込んでも意外と使えたり…というのも当たり前です.

 バッテリーが劣化しているかどうかを判断するのは非常に難しいです.

 少なくとも最大容量だけで判断するのは安易ですね.

 

 

 

 

 次はサイクル数と最大容量の推移です.

 

iPhoneのバッテリーは、フル充電サイクルを500回繰り返した時に、本来の容量の最大80%を維持できるように設計されています。

バッテリー - サービスとリサイクル - Apple(日本)

 公式による「サイクル数500で最大容量80%」というのはあくまでも設計上の保障であり、必ずしもサイクル数50で交換目安、最大容量80%で交換目安になるとは限りません

 もっと長く使えるかもしれませんし早くに劣化するかもしれません.

 実際このiPhone8は2024/2/4時点でサイクル数1886と500回の4倍を迎えつつありますが致命的な劣化なく使えています.

 5chを覗くと手放したとはいえiPhone7を4400回台まで使っていた方もおられるようです.

 

 

 

 

 前回以降本当にデフレーターが気温と相関しているか気になったので、近所である岐阜市の平均気温と比較してみました.

 ただし気温の上下感覚に合わせてデフレーターは100を基準に反転させ、また平均気温も見やすくするため以下の計算式の結果を使用しています.

 

 \displaystyle\frac{\sqrt{100t}}{16.2}+80

 

 16.2は岐阜市の年平均気温で、平方根を取って圧縮し、グラフに収めるため80足しただけです.

 なので統計学としてのきちんとした指標にならないことに注意してください.

 

 

 更に外れ値を隠して見やすくするとやはりデフレーターと気温はそれなりの相関があるようです.
 歪んだ部分は経年劣化など他の要因…ということですね.

 

 実際リチウムイオン電池の性能が気温に左右されるのは電気自動車においても重大な課題のひとつです.

 スマホならモバイルバッテリーがある…と言いたいですがそれも同じ性質を持つので過信はできませんし電気自動車となればそんないざという時の手軽な充電手段はありません.

 

 氷点下になるのも年に数日あるかどうか、積雪に至ってはゼロの年も当たり前の場所でこれですから、より寒い場所での影響はこれ以上になる可能性が高いわけですね.

 

 

◯◯年使った…は参考にならない

support.apple.com

 質問サイトなどでもよくある内容ですが、そもそもバッテリーというのは劣化する要素があまりに多いため厳密な傾向は存在しません.

 公式で言うようにサイクル数500で80%(iPhone15シリーズはサイクル数1000で80%)というのはあくまでも設計上の参考値のようなものであり、必ずそうなる保障はありません.

 もっと長く持つ場合は普通にあります, そう設計している以上(理想的な条件のもとで)それより劣化するものを良品として積んでいることは非常にまれでしょう.

 

 いずれにしろバッテリーの劣化に関して使用期間は無関係です.

 

 

 

 念押ししますがこれらの結果はあくまでも僕が所有するiPhone8の場合に過ぎません.

 皆さんの端末が同じように劣化するとは限りません.

 

 共通するのは季節性の一時劣化くらいでしょうね.

 ですからこういう寒い季節は見かけよりバッテリーの容量が減ってしまい、本来よりバッテリーの減りが早くなる現象を起こします.

 これはリチウムイオン電池を使うすべての電化製品に起きます.

 それは経年劣化ではないことに注意しましょう.

 

 先日Xでも指摘しましたがこの現象は人肌などで端末を温めることで一時的に解消する場合があります.

 日常はもちろん災害時にも使えるので知っておいて損はありません.