既に夏日を繰り返してますけどね.
バッテリーについておさらい
まずiPhoneをはじめスマートフォン, ノートパソコンなどに一般的に使われるようになったリチウムイオンバッテリーの話からです.
ニカド・ニッケル電池
これまでの充電池は主にニカド電池, そしてニッケル電池でした.
この2つは放電が比較的安定していますが, 電圧がリチウムイオン電池に比べ低い1.2Vが定格となっており, また自己放電してしまって容量が勝手に減ってしまう, 使いきっていない状態で継ぎ足し充電するとその段階から電池容量を測定してしまうため見た目の最大容量が減ってしまう「メモリー効果」といったデメリットを持っていました.
メモリー効果は飽くまでも見た目のものであり, これをリフレッシュすることで本来の容量で使えるよう工夫されたものが出回るようになったため, そういったものを選べばそれほどデメリットでも無くなりました(リフレッシュを忘れなければ…ですが).
じゃじゃ馬のリチウム
対してリチウムイオン電池は定格電圧が3.7Vとパワフルで, メモリー効果も無視できるほど小さいメリットを持っています.
充電回数も(その特性から一概に比較できませんが)上の2つが約500回程度なところ, リチウムイオン電池は500回を超えても使えるようになっています(説明などでは500回が目安となっていると思います, 使い方次第ですね).
一方過充電や過放電によって発熱しやすい, また衝撃に弱いというデメリットを持っています.
大量生産されるまでは扱うのがとても大変だったらしいですね, しかしこうやって大量生産された今でも, 使い方次第で事故を起こしているわけですから, この点はまだまだ難しいということなんでしょう.
たびたびバッテリーの膨張, 爆発が取り上げられますが, ああ言った事故の原因がメーカー側にあるのか, バッテリーメーカーにあるのか, 我々エンドユーザーにあるのか…といった問題はそれはそれで非常に重要なのです.
メーカーは説明書に書いたりメールなどで注意喚起することでしかエンドユーザーに喚起できませんし, かといって我々が素直にそれに従っているか…?と言えば必ずしもそうではありません.
風呂場でのテレビ視聴, 或いはバッテリー充電なんてその最たる例でしょう, 精密機械であること, そしてリチウムイオン電池の性質を知っていればリスクを負ってそんなことをする道理がありません.
昨今では大容量のモバイルバッテリーが人気ですが, これも衝撃や熱によるデメリット, リスクが更に大きくなっているだけでもあります.
キチンと理解した上で使う分には当然構いません.
熱は電気製品の天敵
なんですが, 使う以上発熱は避けられません.
発熱しないよう使うなんて事は基本的に出来ません, しかしできることならそれを抑えたいものです.
バッテリー残量は相対的なもの
バッテリーの劣化…と言われるように, リチウムイオン電池の最大容量は使って行くうちにジワジワと減っていきます.
例えばApple Care+のバッテリー交換基準が80%ですが, 僕が使用しているiPhone 6であれば最大容量は1,810mAhなので, 80%となった約1,448mAhと比較してみましょう.
画面右上に表示されるバッテリー残量の%表示は後者を分母にして表示しますから, 極端な話, 現在のバッテリーが1,448mAhとして, 表示される%表示を比べると
(%)
(%)
と, 同じ1,000mAhでも残量表示にかなりの違いがあります.
「さっき○○%だったのに減りが早い」ように感じられる原因の一つがこれになります.
出来るだけ発熱を抑えるには
では出来るだけ発熱しないようにするにはどうすれば良いでしょうか?
過充電・過放電を控える
上でも書いた通り, リチウムイオン電池では必要以上に充電を続ける過充電, そして容量以上に電気を発する過放電に晒す行為は, バッテリーや周辺機器を発熱させ, 最悪発火, 爆発に繋がります.
そのためこれらを防ぐために保護回路を設け, 過充電・過放電にならないような工夫がされていますが, 裏を返せばそれに何かあったときにこれらの事故を起こすリスクを持っているとも言えます.
保護回路があるから絶対安全…という保障はありません, 万が一のために, そもそも(過放電はともかく)過充電自体をしないよう気を付けるに越したことはありません.
リチウムイオン電池は更に色んな種類があり, 特にiPhoneなどでは成分がゲル状になったリチウムイオンポリマーを使用しています.
これは液漏れがし辛く, 薄型化しやすいのがメリットですが, 相対的に過充電に弱く, 発火するリスクも相対的に高い性質を持っています.
現在これを克服する技術が開発されているようですが(少なくともiPhone 6Plusまではリチウムイオンポリマーのようです).
またリチウムイオン電池では「放電終止電圧」という概念があり, 簡単に言うと「これよりも電圧が下がったらバッテリーを痛める」境界線です.
基本的にはこれよりも電圧が下がる前に電源が切れ, 使用できなくなるよう設計されています.
結論から言ってしまえば, バッテリー残量で言えば理想から順に挙げるなら
- 充電は50%まで, 25~50%を維持
- 40~80%を維持
, そしてオススメしない状況は悪い順から
- 残量100%を維持すること(満充電)
- 残量0%にすること
となります.
現実的なのは40~80%を維持することでしょうかね?
過充電や過放電は前述の通り, 発熱を促す可能性があります.
リチウムイオン電池は, 純粋に0~100%まで充電されることで1サイクルを数えます.
例えば40%から60%まで充電し, その後50%になってから80%まで充電した場合, で0.5回充電したとみなされます.
従って例えば40~80%の間をチマチマ継ぎ足し充電すること自体に問題はありません.
急速充電できる充電器の類がありますが, そもそもそのようなものを使わずとも, 80%程度まではある程度の急速充電をする仕組みになっています.
そもそも急かして充電する行為も, より発熱を促します, 急ぎたい状況であれば, それも理解したうえで使うかどうか判断しましょう.
因みに40, 80という数字は目安です.
ポップアップが出る20%などでもかまいません.
充電中・発熱中はなるべく操作しない
なかなか難しいことですが, 充電中はどうしても発熱するものです.
その最中に操作, 極端に言えば動画を見たり, 処理の多いゲームをしたりすることはおすすめしません.
まぁそれじゃあ全く楽しめませんから, 時間をおいて休憩することも兼ねて本体の発熱を休める時間を置くと良いです.
スマホケースの使用を控える
スマホケースは本体の傷や衝撃を防ぐなどの目的でよく使用されると思いますが, 材質によっては本体から発する熱を留めてしまう場合があります.
うまく熱を逃がすことができなくなり, 結果寿命を減らすことに繋がる可能性はゼロではありません.
高温になってしまったら
それでも高温になることは避けられないことはあり得ます.
高温になったから早く冷ましたいところですが, 急激に冷やすと手段によってはiPhone内部に結露ができ, 最悪故障してしまいます.
バッテリーなどへの負担をかけることなく, ゆっくり冷やしてやることが重要です.
ケースを付けている場合は可能なら外し, 扇風機などに当ててゆっくり冷ますのが良いです.
もちろん, 温度が下がるまではできるだけ操作は控えます.
アルミなどの金属を使用したケース, また冷却シートを予め使用するのもアリです.
但し前者は電波を弱める原因にもなるのでその可能性を理解したうえで判断しましょう.
一番良いのは, 電源を落として冷却対応することです.
〆
バッテリーの充電, 発熱に関わる話は結構賛否分かれます.
僕のこの記事も必ずしも正論とは限りませんし, デメリットと書いた内容が解決へ向かっている場合もあり得ます.
しかし「発熱中でも使い続けること」などを控えるべきであることは今後とも変わることはないでしょう.