これはiPhoneに限らず, スマートフォンを含め色んな場合にありうる話です.
リチウムイオン電池
日常, スマートフォンに限らずパソコンやちょっとした小型電化製品, モバイルバッテリーにもリチウムイオン電池は使われています.
おおまかな性質としては
- エネルギー密度が高いので小型化に適している
- 高い電圧が長時間, 残量終盤まで安定して保持される
- メモリー効果がほぼ無い
- サイクルの寿命が長い
- 自己放電率が(他の二次電池と比べ)低い
- 衝撃や熱による発火・膨張・爆発のリスクがある
といった感じでしょうか.
残量を測定する手段は複数ある
スマートフォンをはじめ, リチウムイオン電池の残量測定は, 対応するチップである電池残量ICが行っています.
しかしその種類は複数あり, おおまかに
- 電圧測定方式
- クーロン・カウンタ方式
- 電池セル・モデリング方式
- インピーダンス・トラック方式
があります.
いづれも精度においてメリット・デメリットがあり, どうしてもある程度の誤差が出てしまいます.
その中でも一番精度が高いのがインピーダンス・トラック方式らしいです.
ガラケー時代は3つの目盛りで残量を表示していましたが, あれは全体のディスプレイ辺りのスペースの問題はもちろん, 1%単位で表示するほど精度が高くないことが分かっているからという事情があったのです.
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電圧特性で見てみる
ここでいくつかの電池の電圧特性を見てみましょう.
グラフはイメージです
電池によって電位が異なるので, グラフの左端がおかしいですがスルーしてください.
おおまかな図ですが, アルカリ, マンガン, ニッケルについてはある程度なだらかに下っており, ある程度の相関が認められるために一定の精度で残量を測定できるそうです.
対してリチウムイオン電池は先程の特徴でも書いた通り, 残量がわずかになるまでほぼ一定の電圧を維持し続けます.
これはその間の処理においてメリットではありますが, その後の放電次第では電池残量ICが正確な電圧を掴めず, いきなり数値が乱降下したり電源が落ちることがあり得ます.
残量を測定するには曖昧な要素が多い
リチウムイオン電池の残量を測る上で, この電圧特性による「現在の電圧の把握の難しさ」はさることながら
- 電池セルの経年劣化
- 動作温度
- 放電電流
- 中途半端な充放電による誤差
などが絡み, またこれらに明確な比例などを含む相関関係を見出すことが難しいため, 少なくとも一時的な誤差, それによる表示異常が起こりえます.
残量が少ないうちは簡易グラフの通りで電圧が一気に乱降下します.
このとき正常な処理を保証しないため, これによって表示が一時的に異常になる可能性もあり得ます.
残量20%の意味
残量が20%になったところでこのようなメッセージが現れるのは, リチウムイオンとしての「高電圧である限りギリギリまで使いたい」という意思と, その後やって来る電圧降下による一時的な不具合の可能性を見越していると考えることもできます.
寧ろそうでないと表示する意味が分かりませんね.
また残量が少ない時に充電ケーブルを抜き挿しすると表示が一気に変わる時がありますよね?あれは短時間での電圧の乱降下に測定が追いついていない可能性があります.
もちろんまず考えるべきは経年劣化ですが.
〆
全く信用するに当たらない…とは言いませんが,
- バッテリー残量はある程度の誤差があるもの
- 残量が少ないうちは何らかの不具合を起こす可能性がある
…だけでも理解頂けると嬉しいです.
後者は先日採用された低電力モードである程度サポートされた…と見るべきでしょうかね.