iPhoneを使う上でたまに見かけるのが「診断」とか「診断データ」ですが, これらが一体何なのか, ちょっと気にはなっていました.
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AssistiveTouchからもできる
一部の方は「ホーム画面に戻る用ボタン」と勘違いされているAssistiveTouchの方を見て気になったところでしょう.
設定アプリを開いて [一般] > [アクセシビリティ] > [AssistiveTouch] > [上位メニューをカスタマイズ] でアイコンをタップすると「診断」の項目があります.
同じ一覧にある他の項目とは明らかに性質が異なりそうですよね.
実際にやってみる
実際に行ってみると, 画面上部に「診断を収集中」というバーが表示され, 数分かけて処理が完了します.
収集されたデータ
こうして収集したデータは, 設定アプリの [プライバシー] > [診断と使用状況] > [診断データと使用状況データ] に並んでいます.
今回のAssistiveTouchで収集したデータは
stacks-xxxx-xx-xx-xxxxxx.ips
という名前のものになるようです.
中を見てみると良く分からない文字列がたくさん並んでいます.
これらは大まかに, デバイスのパフォーマンス状況であったり, アプリのクラッシュログなどが記録されています.
例えばデバイスやアプリがクラッシュしたときにその原因をこのログを辿って突き止めたり, 後のバグ修正のための情報収集などに使われるようですね.
因みに大量にある "JetsamEvent-xxxx-xx-xx-xxxxxx.ips" はどうやらデータ通信を行うアプリに関するログだそうです.
大抵はバッテリー節約などの理由で自動送信を「しない」にすることが多いでしょうが, 何か不都合が生じたときにその解決の糸口となる可能性があるわけです.
「自動送信する」にすると上の画像では読み込みを待たずに撮影してしまったので表示されていませんが他にも項目があり, 各々の説明を簡約すると以下の内容となり, またそれらの情報をApple或いは各デベロッパおよびその子会社・代理業者が送信・収集・保持・処理および使用することに同意・承諾したと見做されます.
- 診断とプライバシー
- ハードウェアおよびiOSの仕様に関する詳細
- パフォーマンスの統計情報
- 各デバイスとアプリケーションの使用状況
- これらのデータに含まれる個人情報は下記のいづれかの扱いとなる
- ログに記録されることのない, ディファレンシャルプライバシーのような特定の保護技術の支配下に置かれる
- Appleに送信される前にレポートから削除される
- 位置情報(位置情報サービスがオンの場合, 1日1回送信)
- 特定の位置の携帯電話信号の強弱
- 各デバイスの位置情報
- 通話を終了した場所
- 店舗内取引が失敗した場所
- App デベロッパを共有
- 上記「診断とプライバシー」の項目と同一の内容
- "アクティビティ"の改善
- Appleデバイスのヘルスケアおよびフィットネス機能の有効性向上やその把握が目的で, 個人を特定できる情報を含まない
- ワークアウトデータ
- アクティビティデータ
- スタンド時間
- エクササイズ分数
- 上がった階数
- ムーブリングの完成率
- 等々
- 他のフィットネスAppがインストールされているか
- おおまかな位置情報
- Apple Watchの使用期間
- 車椅子モードの改善
- 利用目的等は上記"アクティビティ"の改善と同じ
- 車椅子のアクティビティデータ
- ロール時間
- プッシュ数
- エクササイズ分数
- ムーブリングの完成率
- 等々
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ちょっと細かい話
プライバシー - Apple(日本)Appleはあなたのプライバシーを尊重し、強力な暗号化とすべてのデータの扱い方を規定する厳格なポリシーによって、あなたのプライバシーを保護しています。
これらの詳細末尾にもありますが, 個人情報等の取り扱いについてはこちらになります.
iPhoneから個人情報が流出する?Appleが導入する「ディファレンシャル・プライバシー」の問題点とは | かみあぷ - iPhoneひとすじ!こんばんは、菊太郎です。 WWDC 2016では新しいiOSやWatchOSが取り上げられていましたが、「ディファレンシャル・プライバシー」という新技術も発表されました。 これは、ユーザーのプライバシ...
上記のディファレンシャルプライバシーはこちらのかみあぷさんの記事の通り, 賛否両論の技術ではあります.
また診断とプライバシーにおける位置情報データについては, 設定アプリを開いて [プライバシー] > [位置情報サービス] > [システムサービス] > [システムサービス] と進み, 「診断/使用状況」をオフにすることで送信しないようにできます.
こちらも「バッテリー節約法」なブログさんに倣って既にオフにしている方もおられるかもしれません.
SafariやAppに関するログ
上の解説にもある通り, 診断と使用状況の一覧に載るログデータは大まかなデバイスのデータだけでなく, Safariや特定のアプリのバグデータなども記録されています.
これらは我々エンドユーザーが許可すれば, そのデータがデベロッパに送信され, バグ修正などに貢献する可能性があるわけですね.
〆
iOSにしろアプリにしろ, 常に正常を保つにはやはり「どういう状況でエラーが起こるか」はデベロッパーとしてはできるだけ多く知っておきたいものです.
それが良いアプリに繋がるからですね.
それをできるだけゼロにするのが, iOSやアプリの本来の目的の次くらいに重要であるからです.
もちろんそのデータを提供するかどうかは我々に委ねられます.
バッテリー節約といった本来の意味からズレた理由でなく, 正当な理由で「このデータを人に見せるべきか」は自分自身で決めるものです.