この問題は頻繁に取り上げられますね, 指摘される点は幾つかありますが一番は
で仮定して の場合を証明して何の意味があるのか
でしょうか.
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数学的帰納法とは
その前に数学的帰納法を振り返りましょう.
[定義:数学的帰納法]
主に任意の自然数 に対する命題列 の証明法の一つであり, 一般に以下を証明するものである.
- (1)
- (2)任意の自然数 について,
「主に~」としたのは, 一般的には から に対するものですが, ある から逆順に証明したり, 或いは が整数であることもあるためです.
構造としては, まず(1)によって が証明され, 続いて(2)によって個々の について が証明されているため, 例えば は
- ...(1)より
- ...(2)より
という二つを仮定とした結論として演繹されます.
でも同じように
の つの仮定を用いて演繹されます.
任意の に対する であれば...もうお分かりですね?
誤解
分かっている方には何の事もない話ですが, (2)に疑問を抱く原因は論理式で書けば一目瞭然です, 即ち
が正しい解釈です.
誤解する方はこれをしばしば
と解釈してしまいます.
ようは各々の について であることを証明しているのです.
はそもそも証明したいことそのものですから, そりゃあ「そんなもの証明して意味があるの?証明になるの?」となってしまいますね.
〆
なお, 数学的帰納法は自然数を特徴づける性質の一つとなっています.