素数が無限に存在することの証明法で一番有名なのは背理法によるものでしょう.
その際に使う「すべての素数の積に1を加えた数」への理解が一番のカギになります.
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Mnは素数?
素数が無限個存在することを証明する方法として有名な手法は素数が の有限個であると仮定し,
なる数を扱うことになります.
典型的な誤りは, この時点で
「 は のいづれでも割り切れない, 従って は 個のいづれでもない素数であり, 仮定に反する」
と言ったものです.
ぱっとみた感じ問題なく見えてしまいますね.
誤り
なぜこれが誤りなのでしょう?
それを考えるにはそもそも が何であるかから考えることになります.
そもそも を定めた時点ではこれが素数であるかそうでないかは分かりません.
が 個のうちのどれかの素数なのか, そうでない合成数なのか, はたまた別なのかがこの時点では分からないからです.
例えば
は素数ですが
は素数ではありませんね.
(あくまでも素数は有限個であると仮定しているのみであるため, から順に並べる必要はありません, それが納得出来なければ例えば が合成数となり と因数分解できます)
従って は素数かそうでないかはこの時点ではわかりません, 故に素数であるとは決め付けられず場合分けが必要になります.
もし が素数ならば, 任意の について , つまり よりも大きい素数の存在を認めることとなり, これは初めの仮定に反します.
対して が素数でない, つまり合成数である場合.
この場合合成数なのですから は一つの素数の累乗, もしくは2つ以上の異なる素数で割り切れるはずです.
しかし の定義から はどの でも割り切れません.
初めの仮定よりこの 個の素数がすべてですから合成数であることに矛盾します.
結果 が素数であると仮定しても合成数であると仮定してもどこかで矛盾を生じます.
これは初めの仮定である「素数が有限個である」がそもそも誤りであるこということ, 然るに素数は有限でない, 無限個であることの証明となります.
これが背理法と を用いた正しい証明法です.
〆
人によっては前者を省略してしまうため, このような誤解をしてしまう方が出てくるんじゃないかと思います.
場合分けは必要だからやってる…ということですね.