もう一人のY君

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【数学】変数と定数の違い

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 これまでいくつかの「違い」を説明しましたが, 今回は変数と定数についてです.

 

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変数と定数の違い

 一般的な理解として, 変数と定数は以下の特徴を持っています.

 

 

変数  値が変化する  値は決まっていない 
定数  値が変化しない  値は決まっている 

 

 そして一般的に, 変数はアルファベット小文字で { \displaystyle x, y } 辺りを, 同様に定数は { \displaystyle a, b, c } 辺りを使うのが慣例となっています.

 一度に扱う数が多い場合は例えば { \displaystyle x_1, x_2, x_3,\dots, x_n,\dots } と, 添字を使いますね.

 

 

好きなものを一つ取る「変数」

 まず変数とは, 与えられた定義(域)から好きに一つ取ってそれを対象とすることです.

 従ってまず定数を定義した時点ではその中から何でも良いので一つ選ぶわけです.

 

 当然, 人が違えば, また少しの気分の違いで別のものを選ぶかもしれません.

 それでも問題ないということですね.

 

 

 任意の実数 { \displaystyle x } について { \displaystyle x^2\geq 0 } が成り立つ.

 

 例えば上の例を見てみましょう.

 「任意の実数 { \displaystyle x } 」と言われて, 貴方は何を思い浮かべたでしょうか?{ \displaystyle 1 }? { \displaystyle 2 }

 誰がどのように選んだとしても, (今回であれば)実数という条件さえ従って入れば良い, これが変数の考え方です.

 人によって何を選ぶかは分かりませんから, その姿は定義された以上のことは定まっておらず, 変化し, 具体的に決まっていません.

 

 

方程式における「変数」

 これが方程式などになると少しだけ事情が変わってきます.

 

 例えば { \displaystyle x^2-3x+2=0 } という方程式を考えます.

 

 答えが { \displaystyle x=1, 2 } であることは明白ですが, つまり { \displaystyle x=1 } でも良いし, { \displaystyle x=2 } でも良いわけですね.

 

 答えがただ一つとは限らず, 複数存在する可能性を秘めています.

 

 

変動する定数?

 上で, 定数は「値が変化しない」と書きましたが, 例えば次のような問題ではあたかも「定数なのに動いている」かのように思えてしまいます.

 

 

[例題1]

 2次方程式 { \displaystyle -x^2+2kx-1=0 } が実数解を持たないような実定数 { \displaystyle k } の範囲を求めよ.

 

 この答えは, 例えば判別式を利用するなら { \displaystyle D\lt 0 } であれば良いので

 

{ \displaystyle D = (2k)^2-4(-1)(-1) = 4k^2-4\lt 0 }

 

, よって { \displaystyle -1\lt k\lt 1 } となります.

 

 { \displaystyle -1 \lt k\lt 1 } のような表現を見れば, あたかも { \displaystyle k } が変数であるかのように見えるかもしれません.

 

 実際には, この範囲から一つ決めるわけです, { \displaystyle k=0 } でも { \displaystyle k=\frac{1}{2} } でも良いわけですが, 各々について, くだんの命題が成立している…ということです.

 

 従って, 例えば今回の場合定数となる候補はたくさんあるわけですが, 実際に定数として選ぶのは一つです, しかし「どれにするのか」は答えなくても良いのです, なぜならその範囲にあるどの { \displaystyle k } であったとしても正しいからですね.

 

 

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変数と定数はどう見極めるのか

 こうして見ると, どちらも同じように思えてしまいます.

 

 変数は値が変化するもの, 定数は固定されたもの…という認識は変わりませんが, その記号がどちらであるかを決める要素は実は無いのです.

 

 ではいつ, どこで決めるか…ですが, それは例えば問題文(=出題者)であったり, 我々解答者側なんですね.

 先程, 例えば { \displaystyle x } は変数, { \displaystyle a } は定数…としましたが, この決まりに強制力はなく, 実際にはその場で「そう見なしている」だけなのです.

 

 極端な話, それまで定数であったものを変数と見なして扱うことさえあります.

 例えば { \displaystyle x } についての方程式 { \displaystyle ax=1 } が実数解を持つ条件を考えてみましょう.

 このとき問題から変数は { \displaystyle x } なわけですが, 敢えて { \displaystyle x } を定数, { \displaystyle a } を変数と見なします.

 { \displaystyle a=\frac{1}{x} } と変形できますから, { \displaystyle a\neq 0 } のとき解あり, { \displaystyle a=0 } のとき解無しであることが分かります.

 

 このとき { \displaystyle a } を定数と見なしたままであれば, { \displaystyle a= \frac{1}{x} } は固定されたままと考えることになります, しかし { \displaystyle x } は変数ですから { \displaystyle a } が { \displaystyle \frac{1}{x} } だけとは限らないのです.

 

 

 場合によってはその定数の具体的な値が分かっている場合がありますが, 「値が決まって」いると分かっていても, 「具体的に何であるか」が分かっている必要はないのです.

 

 

変数  値が変化する  値は決まっていない  値が分かっていない
定数  値が変化しない  値は決まっている 

 

 

 解釈の仕方によっては, 

 

  • 変数と決めたものは変数
  • それ以外は定数

 

と考えても良いでしょう(大雑把ですが).

 

 

 学校で結構早いうちに学ぶ変数と定数ですが, 文句なしに納得してもらえる説明って難しいんですね.